見慣れない天井、買った覚えのない家具、現代日本ではまず有り得ない小屋のような家。
ここはどこなのか、なにが起こったのか、もしかしたらまだ夢の中なのか、寝ぼけた頭で必死に色々なことを考えます。
その不思議な現象からこの言葉の真偽はともかく、自分は今知らない場所にいるということだけは理解することができました。
それと同時に、自分が少しワクワクし始めていることに気づき、どうすればいいのかと答えあぐねていると、再度頭の中に声が響きました。
もう、どうにでもなれと、深呼吸し、目を閉じます。
次に目覚めた時、魔法使いはこの世界のことや、自分が何をするべきなのかを全て理解していました。
自分は元の世界に戻ることはできないということ。
そして自分には世界にはびこる敵と戦い、最終的に敵方の王を討つ使命があるということ。
他にも色々な事情を飲み込んだ魔法使いは、己を高めるため修行をしたり、身近な敵と戦う日々を送ることになりました。
それから10年ほど経った頃。
魔法使いは、いつしかこの世界でも有名な大魔法使いとなっており、その名に恥じない実力を身につけていました。
相変わらず修行と戦闘ばかりの日々でしたが、とても充実した生活を送っているようです。
そんなある日、魔法使いは旅の途中で3人の子供たちが魔物に襲われている場面に出くわします。
魔物を討伐し、子供たちを助ける魔法使い。
その手際の良さに、先ほどまで泣きじゃくっていたはずの子供たちは、尊敬の眼差しで魔法使いに礼を言いました。
子供たちと少し話してみると、近くの町まで行く途中だということがわかり、護衛も兼ねて行動を共にすることになります。
子供たちは魔法使いに興味津々のようで、移動中はずっと質問攻めにあうことになりました。
そんな子供たちに、自分は転生者なのだと話すと、一人の子供が突然こんな事を言い出しました。
「魔法使い様は、前の世界でお医者様をしていたの?」
どうしてそう思うのかと子供に尋ねると、その子供は嬉しそうに
「だって、私の怪我、すっごく綺麗に治してくれたから」
と言いました。
すると、別の子供が話に割って入ってきて
「違うよ、きっと魔法使い様は賢者だったんだよ。あんな凄い魔法見たことないもん」
と言い出します。
そこから子供たちは、魔法使いが元の世界でどんな仕事をしていたかを予想しはじめ、ついに軽い言い合いをはじめてしまいました。
困った魔法使いは、子供たちをなだめ、こう言います。
「私は前の世界では、〇〇〇〇をしていたんだよ。」
突然ですが、問題です。
転生者である魔法使いは、前の世界でどんな仕事をしていたのでしょうか?
ある日あなたが目覚めると、そこは見覚えのない部屋でした。
見慣れない天井、買った覚えのない家具、現代日本ではまず有り得ない小屋のような家。
ここはどこなのか、なにが起こったのか、もしかしたらまだ夢の中なのか、寝ぼけた頭で必死に色々なことを考えます。
そう、この魔法使いとは、あなたのことです。